- 音楽は才能ではなくスキルであり、大人からでも趣味として始められます。
- ギター、ピアノ、ウクレレなど、初心者におすすめの楽器の選び方、必要な道具と費用が具体的にわかります。
- 独学と音楽教室それぞれのメリットや、挫折しないための具体的な1ヶ月練習プランを知ることができます。
- ギターのFコードなど、初心者がつまずきやすい壁の乗り越え方や、長く趣味を続けるコツもわかります。
はじめに:音楽は、最高の「自分時間」をくれる
テレビやYoutube、はたまた近所のイベントで楽器の演奏をしている人を見て、こんな風に思ったことはありませんか?

楽器を弾ける人ってかっこいい!
自分も演奏できるようになりたい!
でも、同時にこんな考えも浮かんでくるでしょう。

でも、楽器の演奏って難しそう…
楽器の経験なんて学生の時のリコーダーくらい…
音楽は、難しい理論や生まれ持った才能がなければ楽しめない、特別なものではありません。
大人になってからでも楽しめる素晴らしい趣味です。
音楽に才能は必要?-いいえ、そんなことはありません。
「私には音楽の才能なんてないし…」 そう思われるかもしれませんね。
多くの方が、楽器を始める上で一番高いハードルだと感じているのが、この「才能」という言葉の壁です。
確かに音楽の感性や絶対音感といった、特殊な才能を持った方もいるでしょう。
しかし、それは楽器を演奏するための必要条件ではありません。
音楽は、才能ではなく「スキル」です。
自転車の乗り方を練習すれば誰でも乗れるようになるのと同じで、正しい方法で少しずつ練習を重ねれば、誰でも弾けるようになります。
最初の楽器、どう選ぶ?
さて、最初の関門、楽器選び。
世の中にはたくさんの楽器がありますが、ここでは特に大人の趣味として始めやすい3つの楽器をピックアップしてご紹介します。
※演奏してみたい楽器があるならそれを始めるのが一番です。
候補①:ギター【カッコよさを求めるなら】

多くの人が一度は「弾けたらカッコいいだろうな」と憧れる楽器の代表格、それがギターではないでしょうか。
好きなアーティストが気持ちよさそうに弾き語りをする姿は、本当に魅力的ですよね。
・ギターの良いところは、ロック、ポップス、フォークソングなど、様々なジャンルの音楽をカバーできること。
・歌の伴奏にもぴったりなので、「弾き語り」という目標を立てやすいのも嬉しいポイントです。
候補②:ピアノ【音楽を基礎から学べる】

ピアノは「楽器の王様」とも呼ばれるほど、音楽の基本がぎゅっと詰まった楽器です。
鍵盤を押せば、誰でもすぐに正しい音が出せる。このシンプルさが、初心者にとっては大きな安心材料になります。
・鍵盤はドレミファソラシドが順番に並んでいるため、目で見て音の関係性を理解しやすく、音楽の仕組みを学ぶのに最適です。
・クラシックの名曲から最新のJ-POP、ジャズまで、どんなジャンルの曲でも一人でメロディと伴奏を同時に奏でられるのは、ピアノならではの大きな魅力。
・ヘッドホンを繋げられる電子ピアノなら、夜間でも周囲を気にせず練習に没頭できるのも、忙しい大人にとっては嬉しいポイントです。
候補③:ウクレレ【手軽さを求めるなら】

「ギターは少し難そう…」と感じる方に、ぜひおすすめしたいのがウクレレです。
・小さくて軽く、弦も4本だけ。
・ナイロン製の弦は柔らかいので、ギターに比べて指が痛くなりにくいです。
・シンプルなコードなら、本当にその日のうちにいくつか押さえられるようになるくらいの手軽さ。
必要なモノと費用、選び方
弾きたい楽器が決まったら、次は道具を揃えましょう。
「高価なものを買わないとダメなのかな…」と心配になるかもしれませんが、初心者の方が始めやすい、手頃で質の良い楽器がたくさんあります。
ここでは、それぞれの楽器を始めるにあたって「最低限これだけは揃えたい」というアイテムと、その費用感、選び方のコツをご紹介します。
個人の好みや体格、目指す音楽スタイルによって最適な楽器は異なるため、実際に楽器店で専門のスタッフに相談し、試奏してみるのがおすすめです。
ギター編:安すぎるものはNG
- 必要なモノ
- アコースティックギター本体
- チューナー
- 音を正しく合わせるための必需品。
- スマホのアプリでも代用できますが、ギターのヘッドに挟むクリップ式チューナーが一つあると、素早く正確に合わせられて便利です。
- ピック
- 弦を弾くための小さな板。
- 形や硬さで音が変わるので、まずは数種類がセットになったものを試してみるのがおすすめです。
- 教則本
- 最初の練習の進め方が分かるのであると心強いでしょう。
- 費用感
- 上記がセットになった初心者セットなら2万円〜3万円が相場です。
- 個別に揃えるなら、ギター本体で3万円〜5万円のものを選ぶと、作りがしっかりしていて弾きやすく、長く愛用できるものが見つかりやすいでしょう。
- 選び方のコツ
- できれば、一度楽器店で実際にギターを構えてみることをおすすめします。
- 大きさやネックの握り心地など、自分にしっくりくるものを選ぶのが上達への近道です。
- 安すぎるギターは、弦を押さえるのに余計な力が必要だったり、音がずれやすかったりすることがあります。
- 少しだけ予算を上げて、信頼できるメーカーのものを選ぶと、挫折するリスクをぐっと減らせます。
ピアノ編:上達の鍵は「鍵盤」にあり
- 必要なモノ
- 電子ピアノ
- アコースティックピアノが理想ですが、価格や設置場所、音量の問題を考えると、まずは電子ピアノが現実的です。
- ヘッドホン
- これがあれば、夜中でも時間を気にせず練習に集中できます。
- 椅子
- 正しい姿勢で弾くために、高さが調節できる専用のものが望ましいです。
- 教則本
- 電子ピアノ
- 費用感
- 電子ピアノ本体、椅子などがセットで5万円〜8万円が目安です。
- 選び方のコツ
- ピアノの上達で最も大切なのが「タッチ感」です。
- 本物のピアノに近い「88鍵盤」で「ハンマーアクション鍵盤(またはそれに準ずる鍵盤)」を搭載したモデルを選びましょう。
- 鍵盤の数が少なかったり、おもちゃのような軽い鍵盤だったりすると、正しい指の力や表現力が身につきにくくなってしまいます。
- 最近の電子ピアノは、メトロノーム機能や録音機能など、練習をサポートしてくれる便利な機能が付いているものが多いです。ぜひ活用しましょう。
ウクレレ編:「安すぎる」は挫折のもと
- 必要なモノ
- ウクレレ本体
- チューナー
- ウクレレは弦が緩みやすいので、チューナーは必須です。
- ギターと同じくクリップ式のものが便利。
- 教則本
- 費用感
- 本体とチューナーなどを合わせて1万円〜2万円が目安です。
- 選び方のコツ
- 数千円で買えるものもありますが、音程が安定せず、弾くたびに音がずれてしまう(チューニングがすぐに狂う)ことがよくあります。これでは、弾いていてもちっとも楽しくありません。
- 最低でも1万円以上の予算で、楽器としてしっかり作られているものを選びましょう。
- 大きさは、手が小さい方なら「ソプラノ」、少し大きめの「コンサート」が大人の方には抱えやすく人気です。
独学?教室?最適な練習スタイル

楽器と道具が揃ったら、いよいよ練習のスタートです。
独学・教室、どちらにも良い点があり、一概にどちらが正解ということはありません。
あなたのライフスタイルや性格に合った方法を選ぶことが、楽しく練習を続けるために重要です。
選択肢①:独学【自分のペースで、自由に】
今はYouTubeのレッスン動画や練習用アプリ、Udemyなどのオンライン講座など、独学のための素晴らしい教材がたくさんあります。
- 独学のメリット
- 費用を抑えられる
- なんと言っても一番の魅力は、レッスン料がかからないこと。
- 時間と場所に縛られない【社会人に嬉しいポイント】
- 仕事が忙しい日、疲れている日は休む。やる気がある日はとことん練習する。そんな風に、自分のペースで進められます。
- 費用を抑えられる
- 独学のデメリット
- 変なクセがつきやすい
- 間違ったフォームや指の動かし方をしていても気づきにくいです。
- 一度間違ったやり方を覚えてしまうと後から修正するのは難しいです。
- モチベーション維持が難しい
- 一人で練習していると、行き詰まった時にやる気が続かなくなってしまうことも。
- 変なクセがつきやすい
選択肢②:音楽教室【正しいやり方が身につきやすい】
大人のための音楽教室も、最近はとても増えています。
仕事帰りに立ち寄れる、便利な立地の教室も多いようです。
- 音楽教室のメリット
- 正しい基礎が身につく
- 経験豊富な先生が、あなたのレベルや癖に合わせて丁寧に指導してくれます。
- 遠回りをせず、着実に上達への道を歩めます。
- 練習が習慣になる
- レッスンの日が決まっているので、練習のペースを作りやすくなります。
- モチベーションを維持しやすい
- 先生や同じ教室の仲間がいることで、モチベーションを高く保ちやすいです。
- 発表会などのイベントで、他の教室の生徒さんと交流できるのも良い刺激になります。
- 正しい基礎が身につく
- 音楽教室のデメリット
- 費用がかかる
- 月謝制の場合、毎月1万円前後の出費が見込まれます。
- 時間的な制約がある
- 決まった曜日・時間に教室へ通う必要があります。
- 費用がかかる
初心者のための実践1ヶ月プラン例
目標設定:1ヶ月で簡単な曲を1曲、ゆっくりでも弾き切る!
最初の目標は、「簡単な曲を1曲、最後まで通して弾けるようになること」。
この成功体験が、次のステップへの何よりのモチベーションになります。

週ごとの練習ステップ(1日15分からでOK!)
【1週目】 楽器に慣れよう
- まずは楽器の正しい持ち方、構え方、姿勢を覚えます。
- ギターやウクレレなら、簡単なコードを一つか二つ、指の形を覚えて、ポロンと鳴らしてみましょう。最初は綺麗な音が出なくても気にしないこと。
- ピアノなら、鍵盤の「ド」の位置を覚えて、片手でドレミファソラシドをゆっくり弾いてみます。
- 目標: 毎日楽器に触れて、その感触や音に慣れること。
【2週目】 曲のパーツを練習しよう
- 弾きたい曲を決め、その曲で使われているコードやメロディを少しずつ練習します。
- ギターやウクレレなら、コードチェンジの練習です。AからBへ、指をスムーズに動かす練習を繰り返します。
- ピアノなら、曲の最初の4小節など、短いフレーズを右手だけで弾けるように練習します。
- 目標: 曲の断片を、少しずつ弾けるようにする。
【3週目】 パーツを繋げてみよう
- 2週目で練習したパーツを、繋げて弾いてみます。
- コードチェンジがもたついたり、メロディが途切れたりしても大丈夫。とにかく、楽譜の先へ進んでみることを意識します。
- うまくいかない部分は、もう一度ゆっくりと、重点的に反復練習しましょう。
- 目標: 曲の流れを意識して、Aメロ部分など、ある程度の長さを通して弾いてみる。
【4週目】 1曲通して弾いてみよう!
- いよいよ、曲の最初から最後まで通して弾くことに挑戦します。
- 大切なのは、途中で間違えても止まらないこと。まるでライブ本番のように、最後まで弾き切ることを目指します。
- テンポは、自分が弾ける一番ゆっくりな速さで構いません。
- 目標: ついに最初の1曲を達成!この喜びをしっかり味わいましょう。
おすすめの「最初の1曲」
使うコードが少なかったり、メロディがシンプルだったりする曲から始めるのが、挫折しないためのコツです。
- ギター/ウクレレ
- 「ハッピー・バースデイ・トゥ・ユー」 (使うコードが3つだけ)
- スピッツ「チェリー」(カポタストを使えば簡単なコードで弾けます)
- あいみょん「マリーゴールド」(こちらも簡単なコード進行で有名です)
- ピアノ(右手メロディのみ)
- 「きらきら星」
- 「チューリップ」
- 久石譲「さんぽ」(となりのトトロ)
まずは、あなたが「弾いてみたい!」と心から思える曲を選ぶのが一番です。
ぜひ、初心者向けの簡単な楽譜を探してみてくださいね。
「もうダメかも…」初心者の壁を乗り越える

練習を続けていると、必ずぶつかる「壁」があります。
壁にぶつかっているのは、真面目に取り組んで上達している証拠!
でも、「才能ないのかな…」と不安になってしまいますよね。
あなたが通る道は、これまで何千、何万という音楽好きたちがみんな通ってきた道です。
ここでは、代表的な「壁」を乗り越えるための、ちょっとしたコツをご紹介します。
ギターの壁:「Fコード」が鳴らない!
ギター初心者が最初にぶつかる最大の難関、通称「Fの壁」。
人差し指で全ての弦を押さえる「セーハ」というテクニックが必要なため、多くの人がここで挫折しそうになります。
「Fは、いつか鳴る」。そう信じて、焦らず少しずつ付き合っていきましょう。
ピアノの壁:右手と左手がバラバラに動かない!
ピアノで少し難しい曲に挑戦し始めると、右手でメロディ、左手で伴奏を弾こうとすると、頭が混乱して指が止まってしまいます。
楽器演奏を一生モノの趣味にするヒント
練習を「続ける」ためのコツ
一番の秘訣は、練習を「特別なこと」にしないことです。
- 楽器をすぐ手に取れる場所に置く
- ケースにしまい込まず、スタンドなどを使ってリビングの定位置に置いておきましょう。
- 「弾こうかな」と思った瞬間に、すぐに触れられる環境が大切です。
- 「テレビを見ながら5分だけ」でもOK
- 「練習するぞ!」と気合を入れなくても大丈夫。
- CMの間にコードを一つ押さえてみる、それだけでも立派な練習です。
- 新しい曲の楽譜を買ってみる
- 次に弾きたい曲が見つかると、練習のモチベーションはぐっと上がります。
- 本屋さんで楽譜を眺めるだけでも、ワクワクしてモチベーションが上がるかもしれませんね。
※楽譜コレクターにはならないように気を付けましょう。
仲間を見つけて、もっと楽しく
一人で没頭する時間も素敵ですが、誰かと音を合わせるとまた違った楽しさを味わえるでしょう。
- 社会人音楽サークルに参加してみる
- 地域名と「音楽サークル」「バンドメンバー募集」などで検索すると、同じように音楽を楽しむ大人たちのコミュニティが見つかります。
- 初心者歓迎のサークルも多いので、勇気を出して飛び込んでみてはいかがでしょうか。
- SNSで繋がる
- XやInstagramで、同じ楽器を練習している人をフォローしてみましょう。
- 他の人の練習の様子を見るだけでも良い刺激になりますし、「自分も頑張ろう」と思えます。
【上級者編】「弾いてみた」にチャレンジしてみる
少し上達してきたら、ぜひ自分の演奏を記録して、形に残してみましょう。
著作権には注意
YouTube、ニコニコ動画、TikTokといった主要な動画投稿プラットフォームは、JASRACやNexToneといった日本の著作権管理団体と包括的な利用許諾契約を締結しています。
この契約により、ユーザーはこれらの団体が管理する楽曲を、指定された方法(例:自分で演奏・歌唱する)で利用し、動画をアップロードすることが許諾されていることが多いです。
著作権ここに注意!(重要な注意点を7つ紹介します。)
- 1. CD音源やカラオケ音源をBGMに使ってはいけない(最重要)
- 2. 大幅なアレンジや「替え歌」には注意
- 3. 市販の楽譜の「映り込み」にも注意
- 4. 収益化の仕組みについて
- 5. 投稿前に楽曲が管理されているか確認できる
- 6.ゲーム音楽など、独自のガイドラインがある楽曲について
- 7.最終的には「公式の一次情報」の確認を
楽器との長い付き合い方
楽器はきちんとメンテナンスしましょう。
乾いた布で優しく拭いてあげたり、弦を交換してあげたり。
そうやって手をかけることで、楽器への愛着はさらに深まっていきます。
おわりに:大人が始める音楽の世界

楽器を始めるのに、「もう遅い」なんてことは決してありません。
むしろ、色々な経験を重ねてきた大人だからこそ、音楽の奥深さや、一つのことにじっくり向き合う時間の大切さを、より深く感じられるはずです。
ここで、冒頭に言ったことをもう一度。
音楽は、才能ではなく「スキル」です。
正しい方法で少しずつ練習を重ねれば、誰でも弾けるようになります。
この記事が、あなたの新しい一歩を、そっと後押しできたなら、これ以上に嬉しいことはありません。