忙しい日々に癒やしの時間を。「ハーブティー」という新しい趣味
はじめに:ハーブの使用には十分注意!
ハーブは医薬品のような治療効果を保証するものではありません。
ハーブの種類によっては、特定の持病・アレルギーがある方、服薬中の方、妊娠・授乳中の方が継続的に摂取する際に注意が必要な場合があります。
利用する際は、信頼できる情報源で確認した上で、かかりつけの医師に使用の確認・相談をしましょう。
そもそもハーブティーって何? 紅茶や緑茶との根本的な違い
原料は「チャノキ」じゃない、個性豊かな植物たち
一番大きな違いは、その原料となる植物にあります。
紅茶、緑茶、烏龍茶は、すべて「チャノキ(学名:Camellia sinensis)」という同じ植物の葉から作られています。
発酵の度合いを変えることで、味や香りに違いが生まれるんですね。
一方で、ハーブティーはチャノキの葉を一切使いません。
その代わりに、香りや体に良い成分を持つ様々な植物の葉、花、茎、果実、根などが原料になります。
- すっとした香りのペパーミントの「葉」
- 甘いリンゴのような香りのカモミールの「花」
- ビタミンCが豊富なローズヒップの「実」
最大の魅力は「ノンカフェイン」
原料が違うということは、含まれる成分も異なります。
特に注目したいのが「カフェイン」の有無です。
チャノキから作られる紅茶や緑茶にはカフェインが含まれていますが、ハーブティーの多くはノンカフェイン(カフェインフリー)です。
これが、ハーブティーが多くの人に愛される大きな理由の一つ。
例外的にカフェインを含むものもあります。
例:マテ茶、ガラナ、ハーブブレンドティー
※購入する際には、パッケージの原材料表示を確認すると確実です。
なぜ、今ハーブティーが人気?
いろんな感覚で味わうリラックスタイム
植物の力こころとからだのバランスを整える
ハーブは、古くから世界中で「薬草」として、心と体のバランスを整えるために使われてきました。ハーブティーを飲むことで、その植物が持つ力を手軽に取り入れることができます。
ハーブの種類によっては、特定の持病がある方、服薬中の方、妊娠・授乳中の方が摂取する際に注意が必要な場合があります。
利用する際は、信頼できる情報源で確認した上で、医師に使用の確認・相談をしましょう。
時間を気にせず、いつでも楽しめる
朝: 気持ちよく一日をスタートしたい時に。
昼: 仕事の合間のリフレッシュに。
夜: 一日の緊張を解きほぐし、穏やかな眠りにつくための準備として。
カフェインの覚醒作用を気にすることなく、いつでもその時の気分で楽しめるのは、ハーブティーならではの大きな魅力です。
無限に広がる、ブレンドや栽培という楽しみ方
世界中には何千種類ものハーブが存在します。
一つのハーブをじっくり味わうのはもちろん、異なるハーブを組み合わせて自分だけのオリジナルブレンドを作るのも楽しいかもしれません。
さらに趣味が深まれば、ベランダでハーブを育て、摘みたてのフレッシュな香りを味わう、なんてことも。
一度始めれば、あなたの暮らしを豊かに彩る、長く付き合える趣味になってくれるでしょう。
最初の一杯、どう選ぶ? 道具とハーブの選び方
まずは家にあるものでOK!基本の道具と気になる費用
- お湯を沸かす道具(電気ケトル、やかんでOK)
- ハーブを蒸らす容器
(蓋つきなら何でも。ティーポットの他、急須やマグカップでも代用できます) - カップ(お気に入りのものを用意しましょう)
- 時間を計るもの(スマートフォンのタイマーで十分です)
もし新しくティーポットを揃えるなら、中身が見えるガラス製のものがおすすめ。
お湯の中でハーブがゆっくりと開いていく様子や、美しい色合いを目で見て楽しむことができます。
ハーブティーは道具にこだわらなければかなりコストを抑えられます。
もしガラスのポットなどを一式揃えたとしても5,000円程度。
月々かかる費用はハーブの茶葉代だけで、週に数回楽しむとしても1,000円前後で十分に楽しめます。
どこで買うのが正解?スーパーから専門店まで
初心者でも失敗しない!最初のハーブ選び5つのポイント
- 好きな香り
・柑橘系の爽やかな香りが好きなら「レモングラス」、花の甘い香りに癒されたいなら「カモミール」のように、直感で選んでみましょう。 - 飲む目的
・「夜、リラックスしたい」「食後にすっきりしたい」など、どんな時に飲みたいか、どんな効果を期待するかで選ぶこともできます。 - 茶葉の形状
- ティーバッグ: 計量いらずで後片付けも簡単。気軽に始めたい初心者に最適。
- リーフ(茶葉): 自分で量を調整でき、香りも豊か。
- 品質
・安心して楽しむなら、農薬や化学肥料を使わずに栽培された「オーガニック(有機JASマークなど)」認証のものを選ぶと良いでしょう。 - 種類
- シングル: 1種類のハーブのみ。植物本来の味や香りをダイレクトに感じられます。
- ブレンド: 複数のハーブを組み合わせたもの。味のバランスが整えられていて飲みやすい。
初心者におすすめの代表ハーブ5選
【カモミール】おやすみ前の、甘く優しい一杯
- どんなハーブ?
・「大地のリンゴ」とも呼ばれる、キク科の可憐な白い花
・リンゴのような甘くフルーティーな香りが特徴 - こころとからだへの影響
・高ぶった神経を鎮め、心身の緊張を和らげる「リラックスハーブの代名詞」
・ストレスや不安を感じる時、穏やかな眠りにつきたい夜に最適
・胃腸の調子を優しく整える働きでも知られています。
長い一日の終わりに。眠れない夜に。心がざわつく時に。
【ペパーミント】仕事の合間に、気分すっきりリフレッシュ
- どんなハーブ?
・メントール由来の、突き抜けるような清涼感が特徴
・気分を瞬時にリフレッシュさせてくれる、シャープで爽快な香りが魅力 - こころとからだへの影響
・食べ過ぎや脂っこい食事の後の胃のもたれをすっきりとさせてくれます。
・脳を活性化させ、集中力を高めたり、眠気を覚ましたりするのにも効果的
食後の口直しに。仕事や勉強中の気分転換に。頭をクリアにしたい朝に。
【ローズヒップ】「飲む美容液」で、内側からキレイをチャージ
- どんなハーブ?
・野生のバラの実。ビタミンCが豊富なことから「ビタミンの爆弾」との異名も。
・フルーティーで爽やかな酸味が楽しめます。 - こころとからだへの影響
・豊富なビタミンCが、肌の調子を整え、内側からのキレイをサポート
・免疫力を高める働きも期待できるため、季節の変わり目にもおすすめ
毎日の美容習慣に。日差しを浴びた後に。風邪のひき始めに。
【ルイボス】毎日の水分補給に、家族みんなで楽しめる
- どんなハーブ?
・南アフリカ原産のマメ科の植物
・紅茶のような美しい色合いですが、カフェインを含まず、渋みもありません。
・ほのかな甘みと、すっきりまろやかな口当たりが特徴 - こころとからだへの影響
・現代人に不足しがちなミネラルが豊富
・リラックス効果や健やかな眠りをサポート
・抗酸化作用も注目されており、エイジングケアにも。
一日を通して飲む日常のお茶として。妊娠中の方やお子様の水分補給に。
【レモングラス】食べ過ぎた後に、爽やかな香りでリセット
- どんなハーブ?
・その名の通り、レモンのような爽やかな香りが特徴のイネ科のハーブ
・トムヤムクンなどの料理にも使われます。
・酸っぱさはなく、すっきりクリーンな味わいです。 - こころとからだへの影響
・胃腸の調子を整える働きに優れ、消化を助けてくれます。
・胃もたれや食欲がない時にも。気分をリフレッシュさせ、やる気を高めてくれる効果も
食後の消化を助ける一杯として。気分を切り替えたい時に。疲労を感じる時に。
もっと美味しく、もっと豊かに。ハーブティーを淹れるときの基本
美味しさを引き出す「ゴールデンルール」
ハーブティーの魅力を最大限に引き出すための、5つの大切な約束事です。
- お湯は「汲みたての新鮮な水」を沸かす
・新鮮な水に含まれる空気が、ポットの中でハーブを踊らせ(ジャンピング)、成分を効率よく抽出してくれます。
・水道水でも可。浄水されていると尚良し。 - 道具はあらかじめ「温めておく」
・冷たいポットにお湯を注ぐと、温度が急激に下がってしまいます。
・ポットとカップを事前に温めておく一手間が、味を大きく左右します。 - ハーブの量は「正確に」計る
・基本の目安は、カップ1杯(約150ml)に対し、ティースプーン山盛り1杯(約2〜3g)です。 - お湯の温度は「沸騰直後」がベスト
・ほとんどのドライハーブは、沸騰して一呼吸おいた95〜98℃のお湯で淹れるのが最適です。 - 蒸らす時は必ず「蓋をする」(最重要ポイント)
・ハーブの豊かな香りの正体である精油成分は揮発性です。
・蓋をしないと、大切な香りが湯気と共に逃げてしまいます。
【実践】誰でも簡単!基本の淹れ方(ホット&アイス)
- 基本のホットティー(リーフの場合)
- 爽やかなアイスティー(急冷式)
- ケトルで新鮮な水を沸かし、その間にポットとカップをお湯で温めておきます。
- 温めたポットのお湯を捨て、1杯分のハーブ(ティースプーン山盛り1杯)を入れます。
- 沸騰直後のお湯を静かに注ぎ、すぐに蓋をして3〜5分蒸らします。
- 時間が来たら、茶こしで濾しながらカップに最後の一滴まで注ぎ切ります。
- ホットティーの2倍の濃さ(ハーブの量を2倍、またはお湯の量を半分)で淹れます。
- 氷をたっぷり入れたグラスに、熱いハーブティーを一気に注ぎ、かき混ぜて急冷すれば完成です。
「味が薄い」「苦い…」初心者が陥りがちな失敗と解決策
いつものティータイムがもっと楽しくなる?
ハチミツ、ミルク、スパイス…いつもの一杯が特別になる簡単アレンジ
まずはキッチンにある身近な材料で、手軽に試せるアレンジからご紹介します。
ハーブティーに合うお菓子は?
お気に入りのハーブティーが見つかったら、ぜひお菓子との組み合わせ(ペアリング)も試してみてください。
お互いの風味を高め合い、ティータイムがより格別なひとときになります。
安心して長く楽しむために。知っておきたい大切なこと
ハーブティーは自然の恵みから作られる、心と体に優しい飲み物です。
しかし、「自然のもの=100%安全」というわけではありません。
植物が持つ力は、時に私たちの体に強く働きかけることもあります。
アレルギーや服用中の薬との飲み合わせについて
特定の植物にアレルギーがある方は、注意が必要です。
特にブタクサなどのキク科アレルギーをお持ちの方は、同じキク科のカモミールでアレルギー反応が出ることがあります。
また、ハーブに含まれる成分が、服用中のお薬の効果に影響を与える(相互作用)ことがあります。
例えば、気分の落ち込みに使われるセントジョンズワートというハーブは、経口避妊薬(ピル)や抗うつ薬など、多くの薬の効果を弱めてしまうことが知られています。
持病がある方や、日常的にお薬を服用されている方は、ハーブティーを始める前に、必ずかかりつけの医師や薬剤師に相談するようにしてください。
妊娠・授乳中の注意点と、美味しく飲むための「適量」
妊娠中や授乳中は、お母さんと赤ちゃんにとって非常にデリケートな時期です。
ハーブの中には、子宮を刺激する作用を持つものや、母乳の分泌に影響を与えるものもあります。
例えば、ラズベリーリーフは安産のお茶として知られますが、妊娠初期・中期は避けるべきとされています。
また、セージやペパーミントの大量摂取は、母乳の分泌を抑える可能性があると言われています。
この時期にハーブティーを楽しみたい場合は、自己判断で選ばず、必ず専門家(かかりつけの医師)に確認・相談をしましょう。
一般的にルイボスティーやローズヒップティーは比較的安全とされていますが、これも体質によりますので、医師への確認は忘れないようにしてください。
そして、どんなに体に良いとされるものでも、摂りすぎは禁物です。
健康な方でも、1日に1杯から3杯程度を目安にするのが良いでしょう。
また、同じ種類ばかりを飲み続けるのではなく、色々な種類のハーブをローテーションで楽しむことが、リスクを分散し、多様な恵みを受けるための賢い飲み方です。
まとめ:あなただけのハーブティーライフの始まり
ハーブティーは単なる「飲み物」ではありません。
今回紹介したものの中から、あなたが直感的に心惹かれたハーブを一つ、選んでみてください。
そして週末にでも、少しだけ自分のための時間をとって、心を込めて一杯を淹れてみましょう。
立ち上る香りを深く吸い込み、温かいカップを両手で包み、ゆっくりと味わう。
その瞬間に感じる安らぎや心地よさこそが、あなたの新しい趣味の第一歩です。
ハーブティーが、忙しい毎日の中に、穏やかな時間をもたらしてくれることを心から願っています。