楽器も楽譜も、もういらない。スマホとAIで始める、知識ゼロからの「作詞・作曲」入門

定番の次はこれ!
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この記事でわかること
  • 楽器が弾けなくても、スマホアプリやAIツールを使って、知識ゼロから気軽に作詞作曲を始める方法
  • 0円から始める方法から本格的な機材まで、予算別の道具の揃え方を知ることができます。
  • 初心者でもオリジナル曲を完成させられる、テーマ決めからアレンジまでの具体的な7ステップを解説します。
  • 完成した曲をSNSで発表する方法や、同じ趣味の仲間を見つけるヒントも知ることができます。

『自分だけの歌』今日から作ってみませんか?

「自分だけの曲を作ってみたい」。 ふとした瞬間に、そんな風に思ったことはありませんか?

作詞作曲は、特別な才能や専門知識がなくても始められる、クリエイティブな趣味です。

作詞作曲で毎日がもっと輝きだす3つの理由

脳の活性化につながる

作詞作曲は、感性を司る右脳と、論理を司る左脳を同時にフル活用する、非常にクリエイティブな活動です。

どんな言葉を選べば想いが伝わるか(作詞)、どんな音の並びが心地よいか(作曲)、そして曲全体をどう組み立てるか(構成)。

この一連の創造的なプロセスは、脳の様々な領域を結びつけ、認知機能や問題解決能力に良い刺激を与えると考えられています。

一生モノのスキルと作品が手に入る

一度身につけた作詞作曲のスキルは、簡単に失われるものではなく、あなたの人生を豊かに彩る「一生モノの財産」になります。

あなたが制作した楽曲は、デジタルデータや楽譜として半永久的に残り、その時々の感情や思い出が詰まったものになります。

数年後に聴き返したとき、当時の情景が鮮やかに蘇るかもしれません。

それは、写真や日記とはまた違った形で、あなたの人生を記録してくれる、かけがえのない宝物になるでしょう

新しい世界とつながるきっかけに

自分で作った曲を、誰かに聴いてもらいたい。そんな気持ちが芽生えたら、あなたの世界はさらに大きく広がります。

今や、SNSや動画サイトを使えば、誰でも簡単に自分の作品を世界中に発信できる時代です。

同じ趣味を持つ仲間と出会い、感想を伝え合ったり、一緒に音楽を創ったり。

作詞作曲という共通言語が、新しい出会いやコミュニティへとあなたを導いてくれるでしょう。

知識ゼロでも大丈夫!最初の「一歩」を踏み出す方法

ゲーム感覚で音楽アプリに触れてみる

「楽器が弾けないから作曲なんて…」と思っている方にこそ、試してほしいのが音楽制作アプリAIツールの活用です。

今は、専門知識がなくても、まるでゲームのように音楽を創り出せる時代になりました。

スマートフォンやパソコンで使える音楽制作アプリです。
例えば「GarageBand(ガレージバンド)」などが有名で、楽譜が読めなくても、ブロックを組み合わせるような感覚で直感的に音を並べ、リズムや伴奏を組み立てることができます。
「こんな音を重ねると、こんな雰囲気になるんだ」という発見を楽しみましょう。

さらに手軽な方法がAI作曲アプリの活用です。
作りたい曲のイメージや歌詞を文字で入力するだけで、AIが自動でメロディー、伴奏、さらには歌声まで乗せた本格的な楽曲を生成してくれます。

「歌詞が思いつかない…」という場合は、ChatGPTのような生成AIに相談してみるのも一つの手です。
「夕暮れの海辺をテーマにした、切ない歌詞のアイデアをください」のように話しかけるだけで、作詞の手伝いをしてくれます。

このように、アプリやAIを賢く使うことで、「作曲」や「作詞」のハードルは劇的に下がります

まずは遊び感覚で、これらのツールに触れてみることから始めてみましょう。

あなたの創作スタイルは?予算別・作曲道具の揃え方

「作曲を始めるには、高価な機材がたくさん必要なのでは?」と心配されるかもしれません。

確かに、本格的に仕事として行うにはかなり高額な機材が必要ですが、趣味として始めるなら、様々な選択肢があります

ここでは、3つのコースに分けて、具体的な道具の揃え方をご紹介します。

【0円コース】まずはスマホ一台でOK

今はあなたがお持ちのスマートフォンだけで、曲作りは始められます。

  • 作詞
    • 標準のメモアプリで十分です。思いついた言葉を書き留めましょう。
    • AIの活用も有効です。
  • 作曲編曲・録音
    • 無料の音楽制作アプリを使いましょう。
    • iPhoneなら「GarageBand」Androidなら「BandLab」などが高機能でおすすめです。
    • これらのアプリには、ドラムやピアノ、ギターなど様々な楽器の音が内蔵されており、指一本で本格的な伴奏を作ることができます。
    • イヤホンに付いているマイクを使えば、そのまま歌を録音することも可能です。

まずは「曲作りの雰囲気を体験してみたい」という方には、この0円コースがおすすめ。

【3万円コース】パソコンで本格的に挑戦

「スマホだけじゃ物足りない」「もっと高音質で録音したい」と感じ始めたら、パソコンを中心とした制作環境にステップアップしてみましょう。

ご自宅にパソコンがあれば、約3万円の追加投資で、プロも使う環境の第一歩が手に入ります。

  • パソコン
    • すでにお持ちのもので大丈夫です。
  • DAWソフト
    • 作曲の中核を担うソフトです。
    • 「Digital Audio Workstation」の略で、録音や編集、様々な楽器の演奏まで、音楽制作の全てをここで行います。
    • Macなら「GarageBand」が無料で付属していますし、Windowsでも「Calkewalk by BandLab」など、無料で高機能なソフトがあります。
      ※「Cakewalk by BandLab」は2023年に開発を終了していますがダウンロードは可能です。後継として有料版の「Cakewalk Sonar」がリリースされています。
  • オーディオインターフェース(約1〜1.5万円)
    • パソコンにマイクや楽器を繋ぎ、高音質で録音するための機材です。
    • これがあるだけで、録音できる音のクオリティが格段に向上します。
  • コンデンサーマイク(約1万円)
    • ボーカルやアコースティックギターの録音に使います。
    • スマホのマイクとは比べ物にならないほど、繊細でクリアな音を拾ってくれます。
  • ヘッドホン(約5,000円)
    • 細かい音を聴き分け、作業に集中するために必要です。

このセットがあれば、自分の歌や演奏を、より本格的な作品として形にすることができます。

【10万円〜コース】高音質での録音や演奏も

さらに創作の幅を広げたい、クオリティを追求したいという方は、機材を少しずつグレードアップしていきましょう。

  • 有料DAWソフト
    • 「Logic Pro」(Mac)「Cubase」(Windows/Mac)など。
    • 付属する音源の質が上がり、より高度な編集機能が使えるようになります。
  • MIDIキーボード
    • パソコンにメロディーやコードを入力する際に非常に便利で、作業効率が飛躍的にアップします。
  • モニターヘッドホン/モニタースピーカー
    • より正確な音の判断をするための機材です。
    • 音が混ざった状態(ミックス)を調整する際に、その真価を発揮します。
  • 有料の音源ソフト
    • 生演奏のようなリアルな楽器の音や、最先端の電子音など、DAWソフトに付属している以外の音を追加し、表現の幅を無限に広げることができます。

もちろん、最初から全てを揃える必要はありません。
自分の創作スタイルに合わせて、必要なものを一つずつ買い足していくのも、趣味の醍醐味の一つです。

知識ゼロからオリジナル曲を完成させる7つのステップ例

ここからは、実際にオリジナル曲を完成させるまでの具体的な手順の例を、7つのステップに分けて紹介していきます。

以下のやり方は「詞先(しせん)」と呼ばれる手法です。
「曲先(きょくせん)」と呼ばれる作曲を先にする手法より難しいと言われています。
自分に合う方で取り組んでみてください。

Step 1: 曲の「テーマ」を決める

どんな曲にも、中心となる「テーマ」があります。

「嬉しい」「悲しい」といった感情でもいいですし、「帰り道の夕焼け」「大切な人への感謝」といった情景やメッセージでも構いません。

まずは、あなたが今、歌にしてみたいことは何か、心に問いかけてみましょう。

難しく考えず、一つだけキーワードを決めるだけでも大丈夫です。

Step 2: 物語を紡ぐ「作詞」に挑戦

テーマが決まったら、次は作詞に挑戦してみましょう。

多くのJ-POPで使われる基本的な構成は「Aメロ(物語の説明)→Bメロ(サビへの盛り上げ)→サビ(一番伝えたいこと)」という流れです。

まずは、曲の中で一番伝えたいメッセージ=「サビ」の歌詞から考えてみると、全体の物語が作りやすくなります。

もし、「言葉が何も思い浮かばない…」と手が止まってしまったら、生成AIの力を借りるのも一つの現代的な方法です。

例えばChatGPTなどに「『夏の終わりの切なさ』をテーマにした歌詞のアイデアをください」とお願いすれば、インスピレーションのきっかけとなる言葉やフレーズをたくさん提案してくれます。

Step 3: 心に響く「コード進行」を選ぶ

歌詞の世界観が見えてきたら、曲の土台となる「コード進行」を選びます。

「コード」とは、複数の音を同時に鳴らした「和音」のこと。

これが連なることで、曲の雰囲気(明るい、切ないなど)が決まります。

聴いていて心地よいと感じる「定番のコード進行」というものが存在します。

例えば「C→G→Am→F」という進行は、数えきれないほどのヒット曲で使われています。

音楽制作アプリには、こうした定番のコード進行を自動で演奏してくれる機能があったり、「コード進行 おすすめ」などで検索すれば、たくさんのパターンが見つかります。

まずは好きな響きのものを一つ選んでみましょう。

Step 4: 「メロディー」を口ずさんでみる

選んだコード進行をループ再生させながらBGMにして、いよいよメロディー作りです。

再生されるコードに合わせて、自由に「ラララ」や「フフフ」で歌ってみるだけです。

そして、その鼻歌をスマホのボイスメモにどんどん録音していきましょう。

ここでは上手く歌おうとせず、思いつくままに色々なメロディーを試すのがコツです。

録音したものを後で聴き返し、「このフレーズ、いいな」と感じたものを繋ぎ合わせていくと、Aメロ、Bメロ、サビのメロディーが形になっていきます。

Step 5: 曲の「構成」を組み立てる

Aメロ、Bメロ、サビというパーツが出揃ったら、それらを並べて一曲の「構成」を組み立てます。

一般的な構成例

イントロ → 1番(Aメロ → Bメロ → サビ)→ 間奏 → 2番(Aメロ → Bメロ → サビ)→ Cメロ(展開)→ 最後のサビ → アウトロ

もちろん、この通りでなくても構いません。

Cメロをなくしたり、サビを繰り返したり、自由に組み替えて、最もドラマチックに伝わる流れを探してみましょう。

Step 6: 楽器で彩る「アレンジ」の初歩

メロディーとコードだけの状態は、言わば「弾き語り」の状態。

ここに様々な楽器の音を加えて、曲を華やかに彩っていくのが「アレンジ(編曲)」です。

音楽制作アプリを使えば、まるでブロックを置くように、ドラムやベース、ピアノの音を簡単に追加できます。

  • ドラム
    • まずはシンプルなリズムパターンを選んで、曲全体に入れてみましょう。
  • ベース
    • コードのルート音(Cのコードなら「ド」の音)を追いかけるだけで、曲に安定感が生まれます。
  • ピアノやストリングス
    • コードを奏でるだけでも、曲に厚みと彩りが加わります。
    • 最初は音を足しすぎず、主役であるメロディー(歌)を引き立てることを意識するのがポイントです。

Step 7: とにかく「完成」させてみる

これが最も大切なステップです。

作っている途中で「なんだかイマイチだな…」と感じる瞬間は、誰にでも必ず訪れます。

しかし、そこで手を止めてはいけません。

たとえ100点満点だと感じられなくても、とにかく最後まで作りきり、「完成」という経験をすることが、次の一曲への大きなステップになります。

完成した曲を世界に届けよう!発表の場と仲間探し

「誰かに聴かせるなんて、恥ずかしい…」と感じるかもしれませんが、勇気を出して発表してみることで、作詞作曲はもっともっと楽しくなります。

なぜ発表することが大切なのか

自分の作品を公開し、誰かから「いいね」や感想をもらえると、次の一曲へのモチベーションが驚くほど湧いてきます

また、客観的な意見をもらうことで、自分では気づかなかった長所や改善点が見つかり、スキルアップにも繋がります

気軽に始められる発表の場

今は、誰もがクリエイターになれる時代。

無料で、かつ匿名で作品を発表できる場所がたくさんあります。

  • SNS(XやInstagramなど)
    • 完成した曲の短い動画を投稿してみましょう。
    • 「#オリジナル曲」「#作詞作曲」といったハッシュタグを付ければ、同じ趣味を持つ人の目に留まりやすくなります。
  • 動画投稿サイト(YouTubeやTikTokなど)
    • 凝った映像は必要ありません。一枚の静止画に音源を乗せるだけで立派な作品です。
    • チャンネル登録者数などを気にせず、まずは自分の作品を保管しておく「倉庫」のような感覚で利用してみましょう。
  • 音楽投稿サイト(SoundCloudなど)
    • 音楽好きが集まるプラットフォームです。
    • 世界中のクリエイターが自作曲を公開しており、聴くだけでも新たな発見や刺激に満ちています。

仲間を見つけてもっと楽しく

一人で黙々と続けるのも素敵ですが、同じ趣味を持つ仲間がいると、楽しさは何倍にも膨らみます。SNSなどで気になるクリエイターを見つけたら、勇気を出してコメントを送ってみましょう。

「この曲の、こういうところが好きです」と具体的に伝えるのがおすすめです。

お互いの曲を聴き合ったり、情報交換をしたりすることで、一人では得られない知識やインスピレーションが手に入り、創作活動がより豊かなものになるはずです。

あなただけのメロディーが、誰かの心を動かす日

今日、あなたが何気なく口ずさんだ鼻歌が、明日には美しいメロディーになり、誰かの心をそっと温める歌になるかもしれません。

あなたが書き留めた一行の言葉が、未来の誰かを勇気づける歌詞になるかもしれません。

もし少しでも興味が出てきたら、お持ちのスマートフォンから気軽に始めてみましょう。

あなただけのメロディーが生まれる瞬間を、心から応援しています。

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